就労継続支援A型事業所のVIIスコア対策|報酬加点を逃さない身だしなみ研修と記録のポイントとは

令和6年度の報酬改定で新設された加算項目「VII 利用者の知識・能力の向上」。
A型事業所では、従来の“作業支援”だけでなく、“職業生活を意識した教育的支援”がより明確に求められるようになりました。
その中で注目されているのが、面接や接客などに活かせる「身だしなみ研修」の導入です。実際にこの報酬改定以降、フォースタイルでは多数のA型事業所様向けの身だしなみ研修をご提供してきました。
しかし多くの事業所様から話を伺ってわかったのは、「ただ研修を実施すれば加点される」というわけではないという事実。
そこで本記事では、VIIスコアでの報酬加点を逃さないために、身だしなみ研修の実施で押さえておきたいポイントと、記録・公開の実務対応についてお伝えします。これまで多くの事業所様の報酬加点を実現してきた経験から、具体的に詳しく解説します。
VIIスコアとは? その背景と意味
「VII 利用者の知識・能力の向上」は、令和6年度の報酬改定により新設された加点項目です。
厚生労働省の通知では、利用者の職業生活に必要な知識やスキルの習得を支援する取り組みが対象とされています。
これまで「就職に向けた支援は就労移行支援の役割」と捉えていた事業所も、今後はA型の中で“学びの場”をどう作るかが問われることになりました。
研修をやってもスコアがつかない? よくある失敗例
フォースタイルに研修のご相談を頂く際、皆様心配されているのが、「VIIスコアに向けて研修を実施したのに加点されなかったら・・・」という点です。
確かにこの制度下では、単に研修を“実施した”という事実だけでは不十分で、制度上求められている要件が満たされていないと加点にはつながらないようです。
特によく見られる失敗例は、以下の3つです。
実施記録や成果の振り返りが不十分だった
VIIスコアでは、「実施したことの記録」だけでなく、写真や成果の可視化、振り返りの記録までが加点の対象とされています。
しかし実際には、「研修を実施した日付と内容」を記録しただけで終わってしまっているケースがあり、様式2の報告書に必要な情報が不足していたため、スコアが認められないという事例が発生しています。
研修内容が「職業生活」に直結していなかった
VIIスコアの目的は、利用者の「職業生活に必要な知識・能力の向上」であるため、研修内容が業務に関係のないテーマに偏っていた場合、加点対象外とされることがあります。
たとえば身だしなみ研修と言っても、「個人のセンスを磨く」「ファッションを楽しむ」といった内容に重点が置いた研修内容にしてしまうと、職業場面との関連性が薄く、評価の対象にならない可能性が高まります。
単発のイベントで終わり、継続支援に結びついていなかった
厚労省の評価基準では、研修そのものだけでなく、その後の定着支援や職員との連携も重視されています。
にもかかわらず、実施報告書に「単発イベント」としての記述しかなく、日常支援との接続や振り返りの工夫が見られない場合、スコア加点が難しくなる傾向があります。
上記のような見落としは、どれも“よかれと思って行った支援”であっても評価につながらないことがあります。
このあとご紹介する「報酬加点を逃さないために押さえるべき3つの実務ポイント」で、こうした失敗をどう防ぐかを具体的に解説します。
報酬加点を逃さないために押さえるべき3つの実務ポイント
記録・振り返り・成果の「見える化」をセットで行う
VIIスコアでは、「実施記録」「成果の可視化」「振り返り」の3点セットが基本とされています。
たとえば、様式2に記載するためには以下のような情報が必要です。
- 研修中や実施後の写真(活動の様子がわかるもの)
- 利用者の声や感想(気づきや学び)
- 研修前後の自己理解や印象の変化を記録したシート
これらが揃ってはじめて、「形式だけでない、実質的な支援」としてスコア加点の対象になります。
内容は「職業生活に直結したテーマ」で構成する
研修のテーマは「おしゃれ」「美容」ではなく、就労現場での振る舞いや印象管理に直結した内容であることが不可欠です。
たとえば以下のような項目が、評価されやすい研修テーマの例です。
- 面接時の第一印象を高める服装の選び方
- 接客業務における身だしなみの基本ルール
- 社内で信頼される振る舞いと清潔感の整え方
VIIスコアの趣旨を踏まえ、実践的・実務的であることが重要です。
実際に当社がご提供しているカリキュラムの一例が以下となります。こちらは事業所職員様向けの研修となり、事業所に戻って職員様が利用者様に研修を実施できるよう組んだカリキュラムです。多事業所を展開されている企業様にご好評を頂いています。
項目 | 内容・ねらい |
---|---|
特性に配慮した身だしなみ指導の実践 | 公認心理師の知見を活かし、利用者様の自尊心を大切にした声がけや指導方法をお伝えします。特性に応じた具体的な支援手法と、モチベーション向上につながるコミュニケーション技術を習得していただきます。 |
視覚支援ツール「身だしなみアドバイスシート」活用法 | 様々な特性の方に伝わりやすい、視覚的支援ツールの具体的な活用方法を解説。日々の支援の中で効果的に使用するためのポイントと、個別対応での応用方法をお伝えします。 |
就労に向けた適切な衣服の選び方と購入計画 | 就労場面で求められる服装の具体例を紹介。必要なアイテム数や購入先の情報に加え、利用者様の経済状況に配慮した調達方法についてもアドバイスします。 |
特性に配慮した衣類管理の方法 | 利用者様の特性や生活環境に合わせた、無理なく継続できる衣類の手入れ方法を提案。自立した衣服管理につながる具体的なノウハウをお伝えします。 |
身だしなみ日次チェックリスト活用 | 利用者様の自己管理能力向上を支援する、身だしなみチェックリストの活用方法を解説。 |
単発ではなく「継続的な支援」と連動させる
VIIスコアでは、研修単体の評価にとどまらず、その後の「定着支援」「職員との連携」「フォロー体制」など、継続的な支援との接続が重視されます。
評価されやすい取り組みとしては、以下のようなステップが挙げられます。
- 研修後に目標設定を行い、個別支援計画と連動させる
- 定着支援担当や職員が日常場面で声かけやフォローを行う
- 数週間後に簡易的なフォローアップ研修を実施する
VIIスコアの趣旨を踏まえ、実践的・実務的であることが重要です。

このように、「記録の整備」「職業的テーマ」「継続支援」という3点を押さえ、
それぞれに実務サポートが伴っていれば、「やったのに加点されない」という失敗を避け、報酬スコアの安定取得が実現できます。
まとめ|「加点される研修」を実現するために、準備すべきこととは?
VIIスコアを確実に獲得するためには、「研修をやること」そのものはもちろんですが、それ以上にどのように設計・実施・記録するかが重要であるということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
- 加点要件を理解した上で研修テーマを選ぶこと
- 記録・振り返り・成果の可視化をセットで整えること
- 単発で終わらせず、継続的な支援に活かせる資料を残すこと
これらを意識することで、形式的な研修ではなく、制度上の評価にきちんと応える「実質的な支援」として評価されやすくなります。
フォースタイルでは、制度理解に基づいたカリキュラム設計から、記録、支援ツールの提供まで、報酬スコア獲得に必要な一式の実務サポートをご用意していますので、ぜひお問合せフォームからお気軽にお問い合わせください。
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